ふたりで描く未来に「ひとり」の計算は入っていますか?

「うちは夫婦で月25万円くらい。贅沢しなければ、なんとかなるだろう」
リビングで家計簿を広げ、そう安堵している方にこそ、知っておいてほしい現実があります。
それは、夫婦で受け取っている年金が、どちらか一人が亡くなった瞬間に、驚くほど収入の形を変えてしまうというルールです。
私たちは無意識のうちに、今の平穏がずっと続くものだと思い込んでしまいます。しかし、統計が示す通り、夫婦が同時に人生の幕を下ろすことは稀です。
必ずと言っていいほど「どちらか一人が遺される期間」が訪れます。
崩れる「半分で済む」という幻想
例を挙げて見てみましょう。夫婦で月25万円の年金を受け取っていた世帯が、夫を亡くした途端、妻の収入は月15万円強へと激減します。
年金収入は「約4割」減る可能性がある
例(夫婦で月25万円受給の場合)では、夫の死後の年金収入の変化を以下のように試算しています。
- 夫婦ふたりの時: 月額 250,000円
- 夫の死亡後: 月額 152,500円
内訳:遺族厚生年金(約8.25万円)+ 妻自身の老齢基礎年金(約7万円) - 減少額: 毎月 約97,500円のマイナス
このように、収入が約39%(約4割)も減少してしまいます。年間に換算すると、約117万円もの大きな差が生まれます。
その差、実におよそ10万円。年間で117万円という大金が、家計から消えてなくなる計算です。
「食費が一人分になれば、なんとか回るのでは?」
そう考えるのは、少し楽観的かもしれません。
想像してみてください。ひとりになっても、固定資産税は安くなりません。真夏にエアコンをつければ、一人でも二人でも電気代はかかります。NHKの受信料も、水道の基本料金も、家の修繕費も、「おひとり様」になったからといって半分にはなってくれないのです。
収入は4割減るのに、支出は4割も減らない。これこそが、老後の家計を静かに浸食する正体です。
「もしも」を計算に入れる強さ
この話は、決して「老後は暗い」と脅かしたいわけではありません。むしろ逆です。事前にこの「年金の組み替え」を知っていれば、私たちは今から対策を打つことができます。
- 新NISAなどを活用し、ひとりになっても困らない「自分専用の財布」を作っておくこと。
- 住まいのサイズをあらかじめダウンサイジングしておくこと。
- 「遺族年金がいくらになるか」を、ねんきんネットなどで具体的に試算しておくこと。
老後資金の相談で最も危険なのは、「今の合計額」だけで安心してしまうことです。
最後に
「夫婦で元気な期間」と「どちらか一人になる期間」。
この二つを切り分けて考えることは、遺されるパートナーへの最大の思いやりでもあります。
愛する人との時間は永遠ではありませんが、お金のルールはあらかじめ決まっています。
今日、少しだけ時間をとって、パートナーと「ひとりになった時の数字」を共有してみてはいかがでしょうか。その一歩が、未来のあなたを救う確かな守りになるはずです。
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