70代の今、私が「3年先」しか見つめなくなった理由

日本の平均寿命は女性が87.33歳で世界第1位、男性も81.35歳で世界第7位。
厚労省の発表を見るたび、日本は世界に誇る「長寿国」なのだと誰もが実感させられます。
長生きができる時代に生まれたことは、本来なら喜ばしいはずのことです。
しかし、この数字の陰にはもうひとつの残酷な現実が隠されています。
「健康寿命」は、男性が72.57歳、女性が75.45歳
日常生活に制限なく自立して過ごせる「健康寿命」は、男性が72.57歳、女性が75.45歳だという事実です。
平均寿命との差は、男性で約9年、女性では約12年。
この10年前後という時間は、手厚い医療や介護の手を借りなければ生きていけない「不自由な時間」であることを意味しています。
かつて70代を迎えた頃の私は、まだどこかで「10年先」を見据えた生き方を考えていました。まだまだ先は長い、やりたいこともたくさんある、と。
けれど、その考えはいつの間にか私の中から綺麗に消えてしまいました。
人間という生き物は、驚くほどあっけなく消えてしまう。
親しい友人や同世代の人間が病に倒れ、あっという間にこの世を去っていく現実を目の当たりにしたからです。
人間という生き物は、大きな病気をしてしまえば、驚くほどあっけなく消えてしまう。
その圧倒的な現実を突きつけられた時、「10年先」どころか「5年先」という言葉さえ恐怖を覚えるようになりました。いや、正直に言えば「3年先」の自分すら、無事でいられるのか自信が持てないのです。
ですが、この恐れは決して絶望ではありません。
健康寿命の「男72.57歳、女75.45歳」という現実の壁。
健康寿命という現実の壁を超えた先に平均寿命が待っているかも
ここをなんとか健康に乗り越えることができたなら、その先にある平均寿命のあたりまでは、穏やかに生きられるかもしれない。そう思えるようになったのです。
大風呂敷を広げた10年後の未来ではなく、「今ここ」にある一日一日と、ほんの少し先の「3年後」を丁寧に重ねていくこと。限られた時間だからこそ、愛おしく、大切に噛みしめながら生きていく。
長寿国の数字に踊らされることなく、自分の足もとにある時間を愛おしむことこそが、70代を生きる私にとってのいちばんの誠実さなのだと、今深く実感しています。
