1日1回食前食後にお読みいただければ幸いです。

夏の無人駅

夏の駅

ジリジリと肌を焼く 容赦のない太陽
今年もまた あの暑い夏が巡ってくる
手の中で突如 震えだしたスマートフォン
画面に浮かぶ文字が 現実を突きつける

電子音が引き裂いた 穏やかな昼下がり
信じたくない言葉が 耳を突き抜けていく
あまりの衝撃に 言葉を失くした私の肌から
悲しみが とめどない汗のように噴き出して止まらない

なぜ こんなに暑い日に
あなたは遠くへ 旅立ってしまうの
「またね」と言った あの日の約束を
置き去りにしたまま 眠ってしまうなんて
容赦なく降り注ぐ光が 涙を乾かす暇さえくれない

時々帰る故郷の 駅の改札口
いつだってそこには あなたの姿があった
見慣れたあの車 助手席から見た横顔
声をかけても もう二度と振り返ってはくれない

「おかえり」の響きは 静寂に呑み込まれ
熱を帯びた風だけが カーテンを揺らしている
あなたの車に乗って 一緒に帰るはずだった道
いまは涙で滲んで 何も見えやしない

なぜ こんなに青い空の下
私の心だけを 置いてけぼりにするの
心の中で 千回あなたを叫んでも
届くことのない 永い別れの時間
夏の熱気のなかで 私だけが凍りついている

鳴りやまない蝉時雨(せみしぐれ)が 頭をかき乱す
あの約束は もう叶わないの?
嘘だと笑ってよ 冗談だよと怒ってよ
吹き出す汗と涙の区別も もうつかなくなっている

なぜ こんなに暑い日に
あなたの命は 遠い空へ消えたの
ちぎれそうな胸で あなたを呼びながら
私はこの夏を 立ち尽くしたまま生きていく

じっとりとまとわりつく この季節が来るたびに
私はあの着信音と あなたの笑顔を思い出す
さようなら、私の大切な人――。

★★★★★★★★★

60代で分かったネット環境の素晴らしさと健康。老後のために60代から始めた老後のブログを70代も継続中!

●日々の更新の大きな励みになっています。
応援をよろしくお願いします!
にほんブログ村 ライフスタイルブログ のんびり暮らしへ
PVアクセスランキング にほんブログ村