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総人口1億2304万人の日本で生きる。年金生活「月5万円の赤字」のリアルと、私たちが向き合う老後のカタチ

年金生活「月5万円の赤字」のリアルと私たちが向き合う老後のカタチ

総務省が発表した2025年国勢調査(2026年5月公表)の速報値によると、日本の総人口は1億2,304万人。この数字の向こう側には、確実に進む高齢化社会の姿があります。

現在、日本国内の年金受給者は約4,000万人。そのうち、国民年金のみを頼りにしている方は1,000万人にものぼります。

日本の人口の約3分の1が年金受給者というこの国で、いざ「年金だけで暮らすこと」を考えると、数年先の未来にふと恐怖を覚えるのは私だけではないはずです。

突きつけられる「月5万円の赤字」という数字

定年退職を迎えた後、働かない限りは大半の人にとって公的年金が唯一の収入源になります。しかし、そこに待ち受けているのは、あまりにもシビアな家計の現実です。

  • 公的年金(収入): 月平均 約22万円(年間 264万円)
  • 生活支出: 月平均 約27万円(年間 324万円)
  • 毎月の不足分: 約5万円(年間 60万円の赤字)

この足りない5万円は、現役時代に蓄えた預金を取り崩して補うしかありません。減っていく通帳の残高と、これから伸びていく寿命。そのバランスを天秤にかけるとき、静かな不安が胸をよぎります。

容赦なく引かれる固定費、そして「体の曲がり角」

「少し節約すればいいのでは?」と思うかもしれません。しかし、家計の支出には私たちの意思ではどうにもできない「削れない固定費」があるのです。

  • 税金・社会保険料の壁: 市県民税、固定資産税、車があれば自動車税。そして介護保険を含む国民健康保険料。これらは現役を退いても容赦なく請求されます。
  • 住まいとインフラの維持: 水道光熱費に加え、マンションなら管理費や修繕積立金、賃貸なら家賃。もし住宅ローンが残っていれば、その返済が重くのしかかります。やはり定年前にローンを完済しておくこと、そして相応の蓄えが必要なのだと痛感させられます。

さらに追い打ちをかけるのが、65歳を過ぎたあたりで訪れる「健康の曲がり角」です。「体調維持のために」と軽い気持ちで受けた検査で高血圧や糖尿病が見つかり、気づけば毎月病院へ通うことになる。この医療費の負担も、老後の家計にとっては大きな誤算となります。

生活のサイズを変える。その先にある「それなりの幸福」

それだけではありません。車や家電製品の買い替え、家のリフォームといった突発的な大出費、現役時代とは変えざるを得ない交際費、そして子どもや孫に用意してあげたいお金……。

どう転んでも、現役時代と同じ生活レベルを維持するのは不可能です。私たちはどこかで踏ん切りをつけて、暮らしのダウンサイジング(生活レベルの見直し)をしなければなりません。

しかし、それは決して「ひもじい我慢の生活」を意味するものではありません。

現役時代のように、お金を派手に使って刺激を得る娯楽はできなくなるかもしれません。けれど、限られた条件の中で、自分なりの「楽しみ」や「幸福」を見つけ出すことは十分に可能です。

朝の涼しい時間にする散歩の心地よさ、図書館で見つけた一冊の本に没頭する贅沢、家で工夫して作る素朴だけれど美味しい料理。お金をかける豊かさから、時間を愛(おし)む豊かさへ。

数字のリアルに怯えすぎず、身の丈に合った暮らしの中に、自分だけの「それなりの幸せ」をそっと見つけ出していく。それこそが、これからの時代を生きる私たちの、等身大の老後の生き方なのかもしれません。

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