103万円の壁がもっぱらの話題となって、メディアでも取り上げられているので、ついつい見てしまいますね。
そこで、103万円の壁と年金受給者の年金に税金はかかるのか?について調べてみました。
103万円の壁と年金受給者の年金の壁
アルバイトやパートなどで働く人、特に学生や主婦が、年間の収入が103万円を超えると、自分の所得税だけでなく、親の扶養控除が受けられなくなるため、親の税金も増える可能性があるという問題が「103万円の壁」と呼ばれています。
年金受給者にとっての103万円の壁
年金受給者が103万円の壁を意識するケースは、以下の場合が考えられます。
年金収入以外にアルバイトやパートをしている場合
年金収入に加えて、アルバイトやパートで得た収入が103万円を超えると、所得税の対象となる可能性があります。
103万円の壁が年金受給者に与える影響
所得税の負担増
103万円を超えた部分に対して所得税がかかるため、手取り額が減ってしまいます。
年金生活への影響
年金だけでは生活が厳しいという理由で、パートやアルバイトをしている年金受給者にとっては、収入が増えることで生活が安定するはずが、所得税の負担増によってその効果が薄れてしまう可能性があります。
年金に税金がかかるのか?
年金にも税金がかかることがあり、具体的には、所得税と住民税です。さらに2037年までは「復興特別所得税」が所得税に上乗せされます。
私たちは国民年金や厚生年金といった公的年金に加入しており、老後を迎えると、老齢年金が支給されます。
この老齢年金は「雑所得」という扱いになり、課税の対象となります。ちなみに公的年金のうち、遺族年金と障害年金は非課税です。
年金に税金がかかる理由
年金は、所得の一つとして扱われるため、一定の金額を超えると所得税の対象になります。また、所得税に基づいて住民税も課税されるのです。
どの年金に税金がかかるの?
老齢年金
一定額を超えると所得税と住民税の対象となります。
障害年金、遺族年金
一般的に非課税です。
公的年金の源泉徴収
公的年金の源泉徴収が行われるのは、65歳未満の人で年金額が108万円を超える場合と、65歳以上で年金額が158万円を超える場合です。
なぜ年金に税金がかかるの?
年金は、働いていた期間や収入に応じて支給されるため、一種の所得とみなされ、他の所得と同様に税金の対象となるのです。
年金の税金はどのように支払うの?
源泉徴収: 年金を受け取る際に、所得税が源泉徴収されます。
確定申告: 源泉徴収された額と、実際に支払うべき税額に差がある場合は、確定申告を行う必要があります。
年金が非課税になるケース
収入が公的年金のみの年金生活者を例に挙げると、65歳未満の年金生活者は年金収入108万円以下であれば、公的年金控除額(60万円)と基礎控除額(48万円)の合計が上回るため、非課税となります。
65歳以上の年金生活者は年金収入158万円以下であれば、公的年金控除額(110万円)と基礎控除額(48万円)の合計が上回るため、非課税となります。
年金の税金について詳しく知りたい場合
年金の税金については、以下の情報を参考にすると、より詳しく知ることができます。
年金事務所…年金に関する様々な疑問を相談できます。
税務署…所得税に関する疑問を相談できます。
税理士…より専門的なアドバイスを受けることができます。
年金が減らされる月50万円の壁とは
『年収の壁』の他にも、働きたい高齢者の前に立ちはだかる「月50万円の壁」というものがあるのを知っていますか。月50万円を超えると、もらえるはずの年金の額が減ってしまう…?。一体どういうことなのでしょう。
厚生年金を受給しながら働いている人で、年金と給与の合計が月50万円を超えた場合、超過した金額の半額が年金から差し引かれます。
働きながら年金を受ける場合(60歳以上:在職老齢年金)
厚生年金保険に加入しながら老齢厚生年金を受ける60歳以上の方は、基本月額と総報酬月額相当額に応じ、年金額が支給停止 (全部または一部)される場合があります。
簡単に言うと次のようなことです。
60歳以上の方でも、厚生年金に加入しない働き方なら、年金が減らされることはありません。
計算方法
①基本月額と総報酬月額相当額の
合計額が50万円以下のとき…支給停止額=0円(全額支給)
②基本月額と総報酬月額相当額の
合計額が50万円を超えるとき…支給停止額=(総報酬月額相当額+基本月額-50万円)X1/2X12
働きながら年金を受給する方へ
厚生年金保険に加入しながら老齢厚生年金を受ける60歳以上の方が対象。
年金を受給しながら仕事をしても、合計月50万円なんて稼げないという人には全く関係ない話です。
日本年金機構のページに、年金支給停止についての説明がありましたので紹介します。
Aさんの場合
給与25万円(月額)、賞与30万円(年間)、老齢厚生年金10万円(月額)、老齢基礎年金6万円(月額)Aさんの場合、給与と老齢厚生年金の合計が1月あたり37.5万円で、支給停止調整額の50万円以下であるため、年金を全額受給できます。
※在職老齢年金の計算の対象となる給与には、1月あたりの賞与額(1年間の賞与を12で割った金額)を含みます。また、税金等を控除する前の額で計算されます。
Bさんの場合
給与40万円(月額)、賞与120万円(年間)、老齢厚生年金14万円(月額)、老齢基礎年金6万円(月額)
Bさんの場合、給与と老齢厚生年金の合計が1月あたり64万円で、支給停止調整額の50万円を14万円超えています。
そのため、支給される老齢厚生年金から14万円の2分の1の額である7万円が支給停止されます。※在職老齢年金の計算の対象となる給与には、1月あたりの賞与額(1年間の賞与を12で割った金額)を含みます。また、税金等を控除する前の額で計算されます。
(出典元:日本年金機構の働きながら年金を受給する方へのページより)
50万円の壁の問題点
働けば働くほど年金が減ってしまうため、高齢者の働く意欲を低下させる可能性があります。
高齢者の労働力が不足している状況で、50万円の壁が働く意欲を低下させ、人手不足をさらに悪化させる可能性があります。
50万円の壁の現状と見通し
現在、この制度の見直しが行われており、50万円の壁を撤廃したり、上限額を引き上げたりする案が検討されています。
50万円の壁に関する注意点
老齢基礎年金は対象外
50万円の壁は老齢厚生年金にのみ適用され、老齢基礎年金は減額されません。
自営業者は対象外
厚生年金に加入している人が対象となるため、自営業者は50万円の壁の対象外です。
50万円の壁の撤廃や上限額引き上げは、高齢者の就労を促進し、人手不足解消に繋がるという点で期待されています。しかし、一方で様々な課題も考えられます。
撤廃・上限額引き上げによる課題
年金支給額が増加し、財政への負担が大きくなる可能性があり、年金制度の持続可能性が危うくなる懸念もあります。
年金支給額が増えるため、現役世代の保険料負担が増える可能性があります。
高齢者の雇用が増加することで、人件費が増加し、企業の経営に影響を与える可能性があります。
老齢基礎年金とは?
老齢基礎年金は、国民年金の一種で、老後に受け取ることができる年金です。国民年金は、日本に住む20歳から60歳までのほぼすべての人が加入する年金制度で、老齢基礎年金はその中でも最も基本的な年金といえます。
老齢基礎年金の仕組み
老齢基礎年金は、保険料を納めた期間に応じて受け取れる金額が決まります。一般的に、20歳から60歳までの間に10年以上保険料を納めると、老齢基礎年金を受け取ることができます。
国民年金の保険料は、基本的に自分で納めて、原則として65歳から受け取ることができます。
老齢基礎年金のメリット
日本に住むほぼすべての人が加入対象となるため、老後の生活の安定に貢献します。老齢厚生年金と併せて受け取ることで、老後の生活を支えることができます。
老齢基礎年金のデメリット
老齢厚生年金に比べて年金額が低い傾向にあります。自分で保険料を納める必要があるため、経済的な負担となる場合があります。
まとめ
103万円の壁は、年金受給者にとっても無視できない問題です。年金以外の収入がある場合や、配偶者の収入がある場合は、年間の収入が103万円を超えないように注意する必要があります。
年金にも税金がかかることは、多くの人が知らない事実かもしれません。しかし、老後を計画する上で、年金にかかる税金についても理解しておくことは大切です。
50万円の壁は、高齢者の働き方や年金制度を考える上で重要なキーワードです。制度の内容や問題点、今後の見通しなどを理解することで、より自分にとって最適な働き方を選ぶことができるでしょう。
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